日曜はじまり日記|10月11日の週

10月11日(日)雨

昼から仕事。最近ご飯をよく噛んで食べるようにしていたら、すこし体重が減った。
わたしは温和なふりをしてとても頑固な人間だなと思う。


10月12日(月)雨

しとしと雨続き。気圧のせいかひたすら眠い。周りで体調を崩している人が多い。今日もよく噛んで食べる。


10月13日(火)晴れ

久しぶりの良い天気。一年中今日みたいな陽気だったら良いなぁと思う気持ち良さ。外のベンチでおにぎりを食べていたら、どこかで焼き芋でもしてるのかな〜という匂いが漂ってきて心躍る。いつかまた焚き火ができる家に住みたい。『針がとぶ』読み終える。

仕事帰りにあゆみブックスに寄って、小森さんが寄稿している『群像』と、柴山さんの編集というので気になっていた『沈没家族』を買った。沈没家族、映画の棚にあるかなと思って探したけど福祉のほうの棚にあり、なるほどそうか、となった。店を出て何となく読み始めたら止まらず、商店街を抜けて駐車場まで夜道を歩きながら読んだ。二宮金次郎状態。こういう明るい本を久しぶりに読んだような気がする。帰宅してからスマホで沈没家族劇場版の予告編を観て心がざわついた。人と一緒に観ていろいろ話したいなあと思った。


10月14日(水)

「総合的、俯瞰的」ってすごい言葉だよなあ。ゆるされるのならわたしも仕事で使いたいけど、たぶん全然理由になってないって怒られると思う。


10月15日(木)晴れ

今日会った方が言っていた「語り手を次の世代が迎えに行かないといけない」という言葉、とても印象に残ったのでメモしておく。戦争体験でも被災体験でも、出来事への距離の違いなどによって生まれる「伝わらなさ」に疲れて、語ることをやめてしまう人がいる。手応えのなさに心が萎えることがある。そういう人がいつしか伝えることを諦めてしまわないように、聞き手が「迎えに行かないといけない」と。

今日はともちゃんの運動会だった。最近家で「負けないで」を歌っていたのはダンスの練習だったらしい(4歳が突然ZARDを歌い出したときは家族総ツッコミだった)。コロナ対策で保護者は1人までらしく、姉だけが参加。送られてきた写真を見たら、帽子とマスクで顔がほぼ隠れているともちゃんがピースしていた。初めての運動会。未来に希望しかないって感じの得意げな顔(目しか見えないけど)。かわいいな。


10月16日(金)晴れのち曇り

今日から4連休。先月オープンした双葉町の伝承館に行こうとすると、父も興味があるようで、母も誘って3人で行くことに。運転は父。ETCのゲートをほぼ減速せずに進む人を見るといつも、わたしとは何かが決定的に違うな…とか思う。
常磐双葉インターを下りて一般道に出ると、真っ先にフレコンバックの山が目に入った。重機やトラックがあちこちにいるけど、民家には人がおらず雑草が生い茂っている。生活の気配のない町。想像通りではあるものの、言葉が出なかった。インターから祈念公園を結ぶ道路沿いに立つ「復興シンボルロード」と書かれたピースフルな看板が完全に浮いていた。
目的地の東日本大震災・原子力災害伝承館は、無機質な道路の先に突如現れた。「こんな箱物つくって」と悪態をつく父。こういう批判的な来館者が多いだろうからスタッフの方々は大変だろうな。原発事故の経緯について詳細に説明はされていたけど、責任の所在については触れられていない。思えばそもそも施設の名前が「原発事故」ではなく「原子力災害」…。
伝承館をあとにして浪江へ。双葉町との町境に「帰宅困難区域ここまで」の標識。浪江に入った途端に町が動き出すのを感じた。生活があるのとないのではこんなに印象が違うものなのかと、静かに驚く。新しくできた道の駅に寄って、飯舘村へ。至るところにモニタリングポスト(放射線量測定機)があり、わたしにとっては新鮮だったが、もはや地元の人にとっては百葉箱のように当たり前の存在になっているように見えた。
あとから地図を見ると、わたしたちが何気なく走った道は四輪のみ通行可能な道路(放射線の関係でバイクや徒歩はNG)だったらしい。夜、放射線汚染物質の海洋放出というタイムリーなニュースを見て、「復興五輪」という言葉の気持ち悪さが改めて体に流れ込んでくる感じがした。


10月17日(土)雨

昨日旅先で手に入れた「ふたばぐるぐるマップ」、楽しげなデザインだけど、帰宅困難区域がピンクで色分けされている。昨日通った道を思い出しながら地図を指でなぞる。何かを知ることで想像する手がかりは増えるけど、同時に、想像で補えることはとても少ない、自分には大事なことが何も見えていないという感覚が押し寄せてくる。
昼、浪江町の集落・赤宇木(あこうぎ)のドキュメンタリーを見て、夜、髪を切った。

ゆり
宮城県で暮らしています。関東や四国での生活を経て帰郷しました。元書店員、いまは文化施設職員。