日曜はじまり日記|10月18日の週

10月18日(日)晴れ

ともちゃんとたいちゃんは畑に芋掘りに。わたしは家でのんびり過ごした。昼はいつかの残りのカレー。

夜、本屋曲線でのイベントへ。写真家の一之瀬ちひろさんと小森さんの対談。「束ねられないものを束ねる」という言葉がなんだか印象的だった。話を聞きながら、小森さんに初めて会ったときのことを思い出した。その場にいる人の中でわたしだけが知らない話題が出たとき、わからないまま何となくやり過ごすこともできたのに、小森さんは体ごとこちらに向き直って目を見て説明してくれた。こういう人なんだ、と静かに感動したのをうよく覚えている。

イベント後、何となく曲線で買うと決めていた『バウルを探して』と、伊藤さんが面白いと勧めてくれた『持続可能な魂の利用』を買った。持続可能な〜のほうは、気になってはいたもののちょっと距離を置いていたのだけど、人から本を勧められることが滅多になくてとても嬉しかったので、えいやっと買った。 曲線に来た帰りは決まって近くのブックオフに寄って帰る。ずいぶん前に池上さんが「チェーホフがすごい面白いんですよ、例えば『馬のような名字』っていう話があって…」と教えてくれて以来(その説明がめちゃくちゃ面白かった)、チェーホフを読むならまずは『馬のような名字』からと心に決めていたのだが、出会えないまま3年くらい経っている。もちろんネットで探せばいくらでも買えるけどその気はなくて、古本屋でたまたま出会えるかどうかのゲームみたいになっている。そして今日も見つからず。
晩ご飯を食べずに出てきたので、マックでポテトを食べてから帰宅。


10月19日(月)晴れ

連休最終日。朝から遠出しようと思っていたのに、起きたらお昼前だった…。煮え切らない気持ちを抱えながらたいちゃんと遊ぶ。
最近のたいちゃんは魔の2歳児感がものすごく、ちょっとでも思い通りにいかないことがあると(たとえばおもちゃの上に重ねた積み木の位置がちょっとずれるとか、箸で掴んだ野菜を落としてしまうとか)、ギャーンと泣き出して手がつけられなくなる。そして泣きながら、なみだふいて!と怒るので、はいはい、と涙を拭いてやろうとすると、おかあちゃんがいい!とまた泣く。母親以外が抱っこしようとすると、こないで!と言ってものすごく怒ったり叩いたりする。自我の発達か。怪獣になったり天使になったり。

昼すぎ、小包が届いたと思ったら、アサノさんの随筆集『読むことの風』だった。とても楽しみにしていた本。うれしくて、カバンに入れて喫茶店に行き、一気に読んだ。何度か泣いてしまった。人の言葉に触れて感情が揺れ、自分の中の何かがすこし変化する、じんわりと温かな温度が流れ込んでくるような感覚がとても尊いものに思えて、胸がいっぱいになった。
寝坊して棒に振った残念な休日が、思いがけずとても良い日になった。


10月20日(火)晴れ

昨夜は変な夢を見た。古い平屋みたいな仕事場で、わたしは以前働いていたタウン誌の仕事をしている。来週校了予定の原稿の打ち合わせをまだしていなくて、枠取りもしていたかどうか怪しい。枠取りしなきゃしなきゃとずっと焦っているのになぜかやらずに右往左往している。すると知らない男が入り口のガラスの端をコンクリートブロックでガンガン叩いている。怖すぎて生まれて初めて110番に電話した。という夢だった。
だいたい変な夢は、アラームを消して二度寝をしたあと、外が明るくなってから見る。

4連休明けの仕事から帰宅すると、玄関にどどーんとハックルベリーの入ったバケツが置いてあった。ついにこの時期が来たか…!毎年大量にいただくハックルベリー、最初こそ嬉々としてジャムにしたが、食べても食べてもなくならない上に味がそんなに好みじゃないので、毎年ちょっとした悩みの種になっている。とりあえず少しだけジャムにしたけど、残りをどうしようか…。誰か欲しい人はいませんか。明日職場の人に聞いてみよう。


10月21日(水)晴れ

コンビニではるさめヌードルを買って、お湯を注いで外のベンチで食べた。遅くまで仕事した。


10月22日(木)曇り

休日。ドライブがてらひとりで東松島へ。高速使えば45分、こんなに近いなんて知らなかった!高校卒業以来しばらく地元を離れて暮らしていたせいか、自分が今暮らしている場所をまだうまくつかめていない感覚がある。空っぽな体の中にどうにか手触りのある記憶を補いたくて、車を走らせる。でも後追いで補えることなんて本当に限られているから、今から新たに蓄積していくしかない。
家から出発して、知識の中にしかなかった場所に実際に立ってみると、頭の中の地図が更新されて現在地がすっと腑に落ちる感覚があり、安心する。

鳴瀬奥松島インターを下りて、野蒜駅の旧駅舎だった伝承館へ。震災遺構の建物、2階はとても良かったのだけど、最近できたと思われる1階のパネル展示で、「安倍首相来訪 激励」とか「小泉衆議院議員 現場視察」とかの写真に結構な枚数を割いていたのが妙に引っかかった。政治家が被災地を訪れたという情報って震災の伝承に必要だろうか? 知りたいのはそこじゃないという気持ちがどうしても拭えなかった。

景色を一望するために、宮戸島の大高森へ。誰もいない登山道をマスクを外してずんずん歩く。山頂に着くと多島美が広がっていた。風光明媚で綺麗なところ。
帰りは一般道で。あっという間に仙台市内に入った。やっぱり近いなあ。そして最近どこに行っても、背高泡立草の群生っぷりがすごい。前からこんなだっけ? 「背高泡立草」っていう言葉を認知して以来、ものすごい勢いで視界に入ってくる。


10月23日(金)雨

どんより雨。同僚と「低気圧のせいでやる気が出ない」と言い合う。

残業せずに上がって、イービーンズの古本まつりに行った。丸山眞男の『戦中と戦後の間』という本が気になって手にとると300円。みすず書房の本が安く売っていると妙にテンションが上がる。ヤケはあるが本文はきれい。あと『ケルトの島・アイルランド』という旅行記も買った。計600円。


10月24日(土)晴れ

昼休み、コートを忘れて外に出たら寒さで凍えそうになった。夜お風呂に入ろうと脱衣所に入った瞬間もひんやりと冬っぽさを感じた。もうこういう時期に入ったんだな〜。

姉が帰省してきたので、深夜まで喋り倒す。久しぶりにビールを飲んだ。わたしが家でほとんどお酒を飲まないのは、一緒に飲む人がいないからなんだと気づいた。
「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」というドラマをうざいくらい猛プッシュされた。

ゆり
宮城県で暮らしています。関東や四国での生活を経て帰郷しました。元書店員、いまは文化施設職員。