日曜はじまり日記|10月25日の週

10月25日(日)晴れときどき小雨

休日。畑でサツマイモを掘る。ごろごろした良いイモがたくさん採れた。でも、細心の注意を払っていたつもりが1つだけスコップでザクッといってしまって、とっさにイモにごめんと謝った。
晩ご飯は、親戚からもらった鹿肉でスペアリブとステーキに。意味不明なくらい豪華な食卓。でも豪華というのは街の感覚であって、祖谷で暮らしていたときはよく鹿肉を食べていた。豚肉や鶏肉は山を下りなければ手に入らなかった。残った鹿骨と鹿スジは煮込んでスープにする。たまねぎ、にんじん、生姜をごろっと投入して時間をかけて煮込む。この感じもなんだか懐かしい。


10月26日(月)晴れ

休日。昨日仕込んだスープでポトフを作る。昨日入れた玉ねぎ、にんじんに加えて、ジャガイモ、カリフラワー、ローリエを入れて煮込む。ローリエ以外、全部父が畑で育てたもの。
カリフラワーなんていつの間に育ててたの?と聞くと、お父さんも知らなかったらしいよ、と姉。キャベツだと思って見守ってたらカリフラワーだったんだって!と母が爆笑していた。そんなこんなでこれからカリフラワーが大量に採れるらしい。キャベツ食べたい。

午後、『沈没家族』読み終える。面白かった。なんか元気になった。本の趣旨とはずれるけど、ともちゃんとたいちゃんをもっと記録しておきたいと思った。いつか何かに悩んだとき、自分をひとつのストーリーに絡めとらずに済むように、そのためのよすがとなるように。どろどろと悩んでいると、かつて自分が天真爛漫でふてぶてしく生きてたことも、まわりから大切にされていたことも全部なかったことにしてしまったりするからね。あなたを愛しいと思って記録をしていた大人がいたということだけでも、いつかしかるべきタイミングで知って欲しい。


10月27日(火)晴れ

夜、前にブックオフで100円で買った『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』を読み終えた。作文教室に集まった一般の方々の作文がとても豊か。すごい。それぞれにちゃんと「自分にしか書けないこと」があって、固有のまなざしが言葉になっている。ひとりひとりが見ている景色が目の前に立ち上がってくるようで、『まどをあける』の原稿を受け取ったときに似た感動を覚えた。また何か作りたい気持ちが湧いてきた。


10月28日(水)晴れ

伝えたいことが相手に伝わらなくてモヤモヤする。ああ言えば良かったのかな、それともこう言えば…と独り言を呟きながら帰り道を運転する。相手が耳を傾けてくれる前提で言葉を組み立てても、途中で遮られてしまい大事なところまでたどり着かない。今日はその繰り返しがつらかった。はっきり言えない性格がきっとどこかで仇になる。ううう、つらい。


10月29日(木)晴れ

中古のビデオカメラを買った。これでともちゃんとたいちゃんを記録するつもり。たいちゃんのつたなくてかわいい日本語もたぶんあと数ヶ月しか聞けない。今のうちに撮らなくては。そしてもう若くない父と母のことも撮りたいと思っている。


10月30日(金)晴れ時々雨

昼休みに外に出たら地面が濡れていた。いつのまにか雨が降って上がったらしい。秋晴れの気持ち良い空、雨後の落ち葉から甘い匂いがした。
同僚とご飯を食べて帰宅すると、ギリシャとトルコで地震があったというニュースが。Twitterで現地の映像を見ていたら、津波が目の前まで来ているのにスマホで動画を撮り続けている人が映っていた。コメント欄には早く高台に逃げろという書き込みがいくつもあった。動画なんていいから今すぐ逃げてよ頼むから。正直腹が立って、涙が溢れてきて見るのをやめた。


10月31日(土)晴れ

思い出すたびにうわぁぁ…と顔を覆いたくなるような空回りをして静かに落ち込んだ日。まっすぐ帰りたくない気持ちであゆみブックスへ行き、上間陽子さんの新刊『海をあげる』を探したが見つけられず。腑抜けた声で「うえまようこさんのうみをあげるありますか…」とレジで聞いたら、店員さんは聞き返すこともなく「少々お待ちください在庫を探します」と言ってパソコンをカチカチしたあとバックヤードに消えた。ちゃんと通じたんだろうかと不安に思っていたら、数分後にちゃんと本を手に持って現れたので、何だか感動してしまった。
買いたての本を読みながら歩く。最初の数ページで目の奥がじーんと熱くなり、いかんいかんと本から目を離し、ページに指を挟んだまま少し歩く。そしてまた続きを読む。
ひんやりとした夜風の中を歩いていると、警察とたくさんすれ違った。そしてハイテンションな若者たちが補導されている。そうか、今日ってハロウィンなんですね。

ゆり
宮城県で暮らしています。関東や四国での生活を経て帰郷しました。元書店員、いまは文化施設職員。