中田日記|11月8日〜11月14日

11月8日

大雨。明日、船が出なかったらどうしよう、と心配になる。仕事中、Tさんから、「明日から連休でしょう、どこか行くの?」と聞かれ、咄嗟に謝ってしまった。前のバイト先で、連休を取ることを「甘えている」と言われたことがあり、休みを取ることへの申し訳なさが消えない。Tさんが「ゆっくり楽しんできな」と言ってくれてほっとした。

三日間家を空けるので、食品を消費しようと思った、のだけど、何を作ったかは忘れてしまった。。多分とろろごはん、マコモダケ炒め、小松菜の何かだったはず。準備をして、就寝。

11月9日

新潟へ。

行こうと思っていたカフェが閉まっていたので、ひとまず北書店に行く。『病と障害と、傍らにあった本』を購入。佐藤さんに「今日はとにかくおしゃれな食べ物を食べようと思っていたのに、その店が閉まっていた」「もう持ちネタ(?)がない」という話をすると、「おれも、今年の目標はそういうおしゃれなものを食うことだったんだよな、一回も食ってないわ」と返ってきた。おしゃれな店がどこにあるか分からないしお腹も空いたので、北書店の近くのハンバーガー屋さんに行った。佐藤さんにお土産のハンバーガーを買って持って行って、「いい肉を挟んだハンバーガーの味だね」という感想を言い合いました。つかだ旅館に荷物を預け、「いつもすみません」と言うと(早い時間に荷物だけ預けたりするので)、「いいんですよ、自由になさってください!お構いもしませんけど!」と言われて、なんだか嬉しかった。わたしは、求められていること以上のことをやろうとして、結局何にもできないようなことがある。疲れてしまう。だから、人に頼ることに過剰に申し訳なさを感じてしまうのだけど、つかだのお母さんや佐藤さんは、無理な依頼には無理だと答えるし、できることならできる範囲で協力してくれる。こちらの好意も気持ちよく受け取ってくれる。ふつうのことなのかもしれないけれど、憧れている。

北書店から、f3に移動。三好耕三展を観に行く。モノクロの大きな写真の前に立つと、爽快感があった。ずうっと眺めていても飽きないような、モノクロ写真の情報量の多さに驚いた。温泉の写真の、水のとろりとした感じ、たっぷりとした質量が気持ちいい。小倉さんと、店を続けることについて話す。高校生の柔軟さに希望を感じると話してくれたことが、自分がうっすらやりたいと考えていることに重なって嬉しい。次の世代に繋げるということ、残すということ。三好さんの写真展で感じたけれど、本物の作品に対峙することを怠けずにいたいと思う。随分と話し込んだので、帰る頃には外が真っ暗になっていたけれど、耕さんと小倉さんとゆっくり話せてよかった。無印で冬服を買って、ジュンク堂で『海をあげる』を購入し、安兵衛で晩ごはんを食べて宿に帰る。『海をあげる』を読み始めたら止まらず、深夜まで読み耽ってしまった。耕さんにも読んでもらいたい。

11月10日

つかだのお母さんが作ってくれた朝ごはん(とっても美味しいパン、クリームシチュー、煮卵)を食べて出発。バスで長岡、乗り換えて十日町へ向かう。初めての十日町!レンタカーを借りて十日町駅から鉢という集落まで向かう道中、山々が美しく色づいていて、「綺麗だねぇ」と何度も言い合った。田舎育ちだけれど、こんなに華やかな紅葉を見たのは初めてだ。いい時期に来た。しばらくドライブをしたのち「絵本と木の実の美術館」に到着。征三さんの作品のある大島には度々通っていて、作品制作のお手伝いにも何度も参加した、にも関わらず、行ったことがなかった場所。耕さんにとってとても大事な場所で、詳しい理由は知らないけれど、一時期離れるしかなかった場所でもある。征三さんの作品制作で耕さんと知り合って、その後色々なことがあったから、今回一緒に行こうと言ってくれたことにじんわりと感動している(多分本人は深く考えてはいないだろうけど)。そんな複雑な気持ちを抱いていたから、雑誌やネットで目に入ってくる外観写真以外何にも知らなかったのだけど、結果、超楽しかった。いろんな造形物がでかい、そして動く。その仕組みが見えるような構造になっていて、でかいものを作る労力や関わる人の多さ、動かすための知識にも直に触れる。作品自体もパワーに満ちたものだけど、関わった人たちの賑やかな声まで聞こえてきそう。木の実の作品群は圧巻。ポジティブな驚きの連続で、久しぶりに受け取った種類の元気が湧いてきた。スタッフで、耕さんがずっとお世話になっていた天野さん、えいこさんとも会うことができた。耕さんの心のよい部分は、ここで、この人たちとの生活の中で生まれたものなんだろうな。特別展の松本秋則さんの作品も愉快で愛らしく、部屋を離れるのが惜しかった。竹で作った生き物たちが奏でる音楽。春になったらまた来たいな、何度も来たいな。

「おばあちゃんたちにねぇ、たがやすくんが彼女連れて来たんだよって言ったら、やっとかぁって喜んでてねぇ」

美術館を出たらもう真っ暗で、雨も強まり、車で宿まで直行。松之山温泉の「凌雲閣」というところに宿泊。歴史ある建造物、という感じ。こへび隊をやっていて、この辺りのあちこちに思い出の場所がある耕さんが、ぜひ行きたいと言う温泉(名前を忘れた…)と、「山愛」という定食屋に行く。いつも食べていたという、カツ丼とスタミナ丼をそれぞれ注文して食べた。どちらも美味しかったし、店のお子さんが近づいて来て、ドラえもんとアンパンマンのバスボムを自慢してきたのがめちゃくちゃ可愛くて、大満足。宿に戻って家族風呂に入ったらお湯がぬるかったけど、まあいいや。

11月11日

宿の朝食を食べて、すぐに出発。宿の朝食って量が多いね。鮭、納豆、卵、山菜の煮浸し二種、海苔、漬物、梅干し、厚揚げの煮物、全部ごはんと食べたいけれどそんなにごはん食べられない。点在する作品を見つつ移動し、山奥にあるミティラー美術館へ。インド民俗絵画のコレクションを所蔵する美術館で、中には所狭しと絵画やら像やら仮面、道具などが並んでいる。中でもワルリー画の絵画はどれもよかった。ポストカードを買ったけれど、全然印象が違う。帰りの電車の都合であまり時間が取れなかったので、またゆっくり来たい。その後、急いでキナーレに向かったけれど、休館だった。田島征三展、観れなかった。ミロコマチコさんと征三さんのライブペインティング…またどこかに展示して欲しいなぁ。新潟まで電車で帰り、万代島美術館で開催中の「ルート・ブリュック展」へ。作家の初期の作品、中期の作品の写真を見て、かわいいな、と思っていたけれど、晩年の作品が素晴らしかった。様々な色や手法で建物や人、蝶や鳥を表現していた作家が、晩年にはいくつもの小さな四角いタイルを使って、光と闇が繊細に存在している風景を表現しようとする。すごい。閉館の時間まで、作品をじっと見詰めた。少し遠ざけていた美術に触れたこの数日間、とても充実したものになった。いい旅だったね、と話しながら、バスセンターの黄色いカレーを食べて、最終のフェリーに乗って佐渡に帰った。

11月12日

昨日遅く帰ったので、眠い。Kさんが「無事に帰ってきたか!」と言ってくれた。夜は、眠くてやる気が出ないので、お母さんが送ってくれた鍋の素を使って味噌豆乳鍋にした。とびうおのすり身と豚バラ入り。

11月13日

Mさんから「無事に帰ってきたね!」と言われた。仕事終わりに、ドラッグストアの休憩スペースで「てしまのまど新聞」用の短い原稿を書いた。メモし忘れちゃって覚えていないけれど、家計簿によるとベーコンを買っているので、この日は、晩にベーコンと白菜の豆乳スープを作ったようです。あとなんだっけ。

11月14日

耕さんの誕生日なので、バイト先の近くの和菓子と洋菓子のお店でケーキを買って帰った。原付に乗せて。前に気に入っていた、鶏むね肉のジャガイモはさみ焼きを作ったけれど、ジャガイモが古かったようであんまり美味しくなかった。しょんぼり。菊芋のポタージュも作ったけれど、あんまり美味しくなかった。しょんぼり。菊芋を買うとき、レジのお姉さんから「これどうやって使うの?」と聞かれてその場で調べてみたら、生でも火を通してもいいし、皮は剥いても剥かなくてもいいし、味噌漬け、醤油漬け、揚げ、焼き、なんでもおっけー!という検索結果に。逆に困るね、と言って笑った。