ほんの日記|2021年7月

(手前は読んだ本、奥は買った本)
また読んだ分の2倍以上買ってる……

◎読んだ本◎
『困ってるひと』『山伏と僕』『みぎわに立って』『進撃の巨人(1〜25巻)』『校正のこころ』『象の皮膚』『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』『告白』『氷柱の声』『ふつうの明日(ZINE)』


7月1日(木)

昨夜読み始めた『困ってるひと』、思いがけずミャンマーの話が出てきてタイムリーで驚いた。ちなみにミャンマーという呼び名は軍事政権が付けたものだからあえてビルマと呼ぶ、ということが書いてあった。
仕事帰りに久々にブックオフに寄る。『銃・病原菌・鉄』の上下巻、網野善彦さん鶴見俊輔さんの『歴史の話』を買う。それから三浦しをんの『あの家の中の四人の女』も。解説にあった「心に巣食った孤独を癒す同居物語」という言葉に惹かれた。孤独、癒したい。

7月2日(金)雨

昼にカレーを食べながら『困ってるひと』を読み終えた。ある日とつぜん原因不明の難病患者となった女性の命がけの体験記。すごく面白かった! 面白かったと思わせてくれる、ものすごく大変なことをユーモアたっぷりで語れる筆力が本当にすごくて感動する。心がプツンと切れそうになる瞬間のはなしがとても心に残った。大野更紗さんすごい人だな。かっこいい。

7月3日(土)くもり、雨

熱海の土砂崩れのニュースに胸が痛む。被害の全貌が見えない。
何もしなかった休日、夜にミャンマーのドキュメンタリー『ビルマVJ 消された革命』を観た。『困ってるひと』の中で紹介されていたので昨日借りてきた。VJ=ビデオジャーナリスト。2007年に僧侶と市民が行った大規模な民主化デモの映像、人々の表情が喜びと希望と高揚感に溢れていて、観ながら思いがけず泣いた。圧倒的な光景。ものすごい映像だった。ついに世界が変わる、長かった抑圧から解放される、そういう希望に満ちた革命の気配が理不尽な暴力によって踏みにじられていく。たくさんの人が軍に殺された。ものすごい切迫感が映像から伝わってくる。本当に命がけでつくられた映画なのだとわかる。語弊があるかもしれないけど、奇跡のような映画だ。

7月4日(日)雨

休日。『ビルマVJ〜』の余韻で悪夢を見た。自宅でも安心して眠れない、常に身の危険を感じて生きた心地がしない夢。目が覚めて、自分が安全な場所にいることを強烈に自覚する。自分が脅かされることを実感しないと平和に気づけなくて情けない。
夕方『アメリカン・ユートピア』を観に行った。フォーラムに行くには車で街中まで運転し、駐車場から雨の中15分くらい歩かなければならない。それを想像しては面倒臭くなって家でグダグダしていたのだけど、このままでは煮え切らないまま休日が終わってしまうと焦り、えいやっと家を出た。結果、本当に観て良かった。すべてが最高。言葉にしきれないけどものすごく感動している。パンフレットを買って帰宅後に余韻を楽しんだ。
夜、都議会選の投開票速報を見て、寝る前に『進撃の巨人』の最終巻を読んだ。最後の最後まで救いがなくて、ハッピーエンドに終わらないところがすごい。

7月5日(月)雨のちくもり

仕事帰りにブックオフに寄るも何も買わず。雨上がりの燃えるような夕陽を見た。夜に『進撃の巨人』の最終巻を読み返して、その前の巻も読み返して、考察サイトを見ているうちに寝落ちしてしまった。目が覚めると朝4時。窓の外が赤く染まっていて、カーテンを開けたらきれいな朝焼けが。山から鳥の声が絶え間なく響き渡るのを聴きながら再び寝た。

7月6日(火)晴れ 夏日

むしむしと暑い。途中まで読んでいた『山伏と僕』を読み終える。ものすごく易しい本なのでちょっと物足りないというか、もっと踏み込んで読みたい感じ。今日も『進撃の巨人』の考察サイトを見て寝た。

7月7日(水)雨、雨、雨

梅雨らしくずっと雨。昼休みに田尻久子さんの『みぎわに立って』を読み始める。
東京感染者920人で緊急事態宣言発令。なんかつらくて正気じゃいられない。心底くだらないと思っているものに殺される、そういうものなのか世の中は。「人間の愚かさをみくびってはいけない」と前にハラリさんも言っていた。

7月8日(木)雨

ランチで久々に天ひろに行ったのだけど相変わらず最高だった。天丼が出てくるのを待つ間、『みぎわに立って』の続きを読む。
菅首相の会見をYouTubeで聞いていて、あまりにも冗長なので途中から2倍速にしたらちょうど一般的なスピードになった。それにしても、相変わらずオリンピックに壮大な意味づけをしすぎでは。「世界が一つになる」ってどういう状況のことを言うのだろう。純粋にぜんぜんわからないから、すとんと腑に落ちている人がいるのだとしたらどういう感じなのか教えてほしい。あと「夢を与える」もわからない。夢は見るものだと思うから、「ひとときの夢を見せてやるぜ」とか「夢のような時間を提供します」とかそういうニュアンスなのかな。それとも「わたしもあのスポーツ選手みたいになりたい」という将来の夢を提示するとかそういうこと?(わたしがおかしいのか……?)「夢を与えます」と差し出された時の受け取り方が本当にわからないのだ。

7月9日(金)雨

半空文学賞冊子の校正作業を開始。喫茶店でひとつひとつ文字を追っていく。雨の日にちょうど良い作業。

7月10日(土)くもり、雨、晴れ

休日。珍しく(初めて?)職場の面々と遠くへ出かけた。はじまりの美術館の展示「(た)よりあい、(た)よりあう」を観に。長距離運転疲れたけど、わいわい楽しかった。
解散したその足で蔦屋に行き、『進撃の巨人』の漫画を1巻から25巻まで借りた。1000円ちょっとで借りられるの嬉しい。帰宅してひたすら読む。

7月12日(月)くもり

昨夜遅くまで半空文学賞の組版作業をしたために寝不足。
仕事帰りに久々にボタンに寄って、ほくほく買い物をする。殺伐とした感情の波にのまれそうになる今日この頃だけど、ボタンに入った瞬間に凪のような時間が生まれる。街のオアシス的な場所。丁寧に並べられた本の背を見ているだけで心が洗われるよう。「今年は早く梅雨が明けそうですね」と薄田さん。
もうすぐ閉店してしまうジュンク堂にも寄る。店内のあちこちで棚卸し作業をしていた。短編文学賞で大賞を取った佐藤厚志さんの「佐藤厚志書店」という棚があり、ご本人が書いたポップとともにいろんな本が並んでいた。読んだことないものばかり。町田康の『告白』が面白そうで買う。850ページの分厚い文庫本。

7月13日(火) くもり、晴れ

暑い。夏だ。帰宅後『進撃の巨人』を読む。

7月14日(水) くもり

帰りに職場のすぐそばの花屋さんでオゾギソウを買った。110円。今日も『進撃の巨人』をひたすら読む。18巻まで読み終えた。

7月15日(木) くもり

蝉が鳴いている。帰宅するとポルべニールさんで注文していた本が届いていた。『まとまらない言葉を生きる』『イエスの意味はイエス、それから…』『炉辺の風おと』『点綴』。いろんな種類のしおりがおまけで入っていて嬉しい。すぐに読みたいのに、今日も『進撃の巨人』の続きを読まなければならない。返却期限迫る。返すまではほかのことができないので必死。毎日超忙しい。

7月16日(金) 晴れ、夏

休日。仙台で用事を済ませて丸善へ。ずっと欲しかった『みんな水の中』、『言葉をもみほぐす』、それから『校正のこころ』を買う。
明日までに『進撃の巨人』を返さなければいけないのにあと4巻あるので、夕飯後に読む。風呂上がりのともちゃんとたいちゃんに絵本を一冊ずつ読んで、ごめんやることあるから今日はこのへんで、じゃ!とバイバイする。今日中に読み終えて、明日はちゃんと文学賞の校正をやらなくては……。

7月17日(土)晴れ

休日。夏日。午前中に雑事を終わらせ、午後から文学賞の校正作業。昨日買った『校正のこころ』をすこしずつ読みつつ。組版と校正と、なかなか作業量が多い。組版が終わったところで印刷して、近所のタリーズで引き合わせ作業。それだけで一日終わってしまった。

7月18日(日)晴れ

昼休みに読み始めた『象の皮膚』が面白いので早く続きを読みたくて、仕事帰りにベンチで読んだ。19時前、生ぬるい風とともに、リリリ……という鳴き声が定禅寺通りを満たしていた。空は淡い暖色系のグラデーションだった。小説の舞台が仙台だから、主人公がすぐ近くで暮らしているような気がしてくる。リアルな描写にヒリヒリする。ヒリヒリするのに読むのをやめられない。すごい文章を書く人だと思う。読み終えて本を閉じると、もう20時半になっていた。真っ暗だけど、街灯の灯りで案外読書はできる。夏の夕方のベンチで本を読むのは結構いい。お金がかからないところもいい。
久々に本を読めたのが嬉しくて、風呂で『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読む。久々に汗をがんがんかく。暑くて半分も読めなかった。早く日野さんの解説まで読みたい。

7月19日(月)晴れ

昼休み、ベンチでパンを頬張りながら本を読む。けやき並木の下は結構涼しい。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』がとても面白い。帰宅してからもずっと読み続けて、寝る前に読み終えた。楽しくて笑えて泣ける最高に素敵な本だ。日野さんの解説もとても良かった。ちょうど今日のsessionのゲストがブレイディみかこさんだったので、布団の中で聴きながら眠る。

7月20日(火)晴れ

朝から町田康の『告白』を読み始める。大量殺人の話という前情報のみで読み始めたので、鬱々とした現代小説かと思っていたら、「河内十人斬り」をモチーフにした時代小説?だった。読みやすくて面白い。

7月21日(水)晴れ

ひたすらに晴れ。朝少し早く着いたのでベンチでぼーっとする。日陰は涼しい。『告白』の続きを少し読む。

7月22日(木)くもり

久しぶりのくもり。昼休みに「ふつうの明日」というイベントに行き、限定25冊のZINEを買う。お客さん第一号だった。イベント会場に置かれていたGIVEBOXに松田青子さんの『スタッキング可能』があり、もらって帰る。ベンチでパンを頬張りながら、買ったばかりのZINEを読み始める。磯崎さんの文章がとても良くて、余韻が残る。また何度も読み返したい。

7月23日(金)晴れ オリンピック開会式

休日。午前中は久々にともちゃんたいちゃんと全力で遊ぶ。ブルーインパルスのパフォーマンスを生中継で見ながらお昼ごはんを食べ、食後に『告白』の続きを読み、眠くなって昼寝。
20時からオリンピックの開会式。いろんな国籍の人たちが嬉しそうに歩いているのを見るのは楽しかった。選手やパフォーマーを見てしまうと水をさす気になれなくなる感じも正直すごくあるなと思ったり。スポーツのさわやかな風がきな臭さをかき消していく。とはいえ、バッハ会長のうんざりするほど長いスピーチがそのさわやかな風を台無しにしていて、会場がクールダウンしているように見えた。

7月25日(日)晴れ

休日。午後ようやく『告白』を読み終えた。6日間かけてじわじわ読んだ。面白かった! 熊太郎がひたすらにしょうもないのだけど、気づけば熊太郎を贔屓に応援してしまう。うまくいくよう祈ったところで絶対にうまくいかないことはわかっているのだけど。脳内でぐるぐる思考して言葉と行動が一致しない主人公、親近感湧いてしまう。良い夏の読書だった。

7月26日(月)晴れ

小川さんがくどうれいんさんの『氷柱の声』を貸してくれた。街灯の明かりの下、夜風を浴びながら読む。読みながら、自分の中のぐつぐつとした感情が炙り出されていくようだった。こんなふうに言語化して、空気を纏わせて表現できる人がいるんだな。「何かを言える立場にないと思っている人」が書くものを、ずっと読んでみたいと思っていた。まさに、まさにこれが読みたかった。

7月30日(金)晴れ

休憩時間にこのあいだ買った「ふつうの明日」のZINEを読み終えた。表現する人たちによって、コロナは数年後どう語られるんだろう。

ゆり
元書店員、現在は文化施設の職員をしています。「ほんの日記」は、毎日書いている日記の中から読書記録などを抜き出したものです。