ほんの日記|2021年8月

(左手前は読んだ本、それ以外は買った本)
歴史の本を2冊読んで頭がくらくらした。無知の知。『ゴールデンカムイ』が全話無料で読めた。

◎読んだ本◎
『スタッキング可能』『「南京事件」を調査せよ』『歴史認識とは何か』『ゴールデンカムイ(全話)』


8月2日(月)晴れ

休日。『スタッキング可能』を読み終える。面白かったけど、なんだかちょっと疲れた。レジスタンスは温度がずれるとしんどくなりがち。

8月4日(水)晴れ

暑い。仕事帰りに『ストップメイキングセンス』を観にフォーラムへ。足でリズムを刻みながらノリノリで観た。そういえば20歳くらいまでは音楽にノるということが超苦行だった。もう一人の自分が冷ややかな目で見てくるという、肥大化した自意識によってその場に染まれない、可哀想な性格だった。自己卑下の無限ループから脱却して以来、リズムに身を任せられるようになったんだよなぁ……と妙に感慨深い。

8月5日(木)晴れ

昼にホルンでカレーを食べ、『世の中グラデーション』を買った。ずっと欲しいと思っていたけどタイミングを逃していたので、ほくほく抱えて店を出た。

8月7日(土)晴れ

徐々に虫の声が夏から秋に変わってきている気がする。『「南京事件」を調査せよ』を読み始めた。

8月8日(日)雨のちくもり

休日。『南京事件を調査せよ』の続きを読む。知らないことばかりで無知を思い知る。南京大虐殺は揚子江がひとつのキーとなっているので、本を読みながら揚子江の画像を検索。すると揚子江という名前の中華料理屋も出てきて、その流れで仙台の中華料理屋を検索してしまう。夜だけ営業のお粥専門店を「行ってみたい」リストに保存したところで、はっとして本に戻る。いつもこんなことばかり。夜、NNNドキュメンタリー『南京事件 兵士からの遺言』を見た。

8月9日(月)雨

台風の気配がする暗い空、湿気った風。仕事に行く前に長崎平和祈念式典の中継を見る。菅首相が原爆にからめて「乗り越えられない試練はない」と言った。嫌だな、と思った。

8月11日(水)くもりのち雨

涼しい。すこし肌寒いくらい。昼休みに『歴史認識とは何か』を読む。第一章、東京裁判について。当時の国際社会では、裁判なんてせずに敗戦国の戦争責任者を即処刑せよという意見もあったらしい。そんな中でも東京裁判やニュルンベルク裁判が行われたことで、一つ一つの疑義についての証拠が提示され、検証が行われた。それによってユダヤ人虐殺や南京虐殺の事実が明るみになったし、一定の検証も行われた。もし裁判をしていなかったら、ユダヤ人虐殺はなかったとか、南京虐殺はなかったといった主張が今よりも幅を利かせていたかもしれない。加えて、この裁判の判例を根拠に、その後も世界で繰り返される新たな戦争犯罪を第三者が批判することができるようになった。世の中が劇的に変化することはないけど、そうやって少しずつ事例を積み上げて前に進むしかないと書かれていた。

8月12日(木)雨 宮城感染者220人

昨日に引き続きとても涼しい。昼休みに餃子弁当を食べながら、『歴史認識とは何か』の続きを読む。歴史認識における基本的な論点すらわかっていないので、初めて知ることが多くて付箋の数がどんどん増えていく。第二章、戦時賠償のところまで読み終わった。
DaiGoの優生思想発言。最悪だけど、でもこういう思想ってすごく自然発生的なものだという気がする。過去の反省の積み重ねの上に包摂的な思想が作られたのであって、むしろ差別は自然にあり、それを乗り越えるために教育があり。必死で抗わなければ簡単にひっくり返されてしまうような、ぎりぎりの状態なんじゃないかと思う。

8月13日(金)雨

朝、昨日のsessionの日航機墜落事故の特集を聞く。神保哲生さんが、「あの人は無駄死にではなかったと遺族が思うためには、悲劇の教訓が生かされていなければいけない。だから毎年この時期は苦しい時期でもある」と話していた。この言葉を聞きながら、昨夜のDaiGoの発言を思い出してまた少し落ち込む。いろんな人が教訓を積み重ねて少しずつ進んできたものをまるごと無視して一気に突き落とせる力が彼の言葉にはあった。
仕事を早退し、映画『へんしんっ』を観に行く。映像を観るのは2度目だけど、音声解説と日本語字幕付きで見るのは初めて。感情を込めすぎないけど気合の入った音声解説の声がすっごく良かった。「へんしんっ」というタイトルコールでとっても楽しい気持ちに。解説を聞いて初めて気付く描写もあって楽しい。
帰りに久々にイオンのブックオフに寄る。110〜220円コーナーを見ていたら『ほんのちょっと当事者』と『海をあげる』を見つけて思わず「えっ!」と声を出してしまった。うそでしょと思いながらいそいそと小脇に抱える。これは人にあげるために買う。『失敗の本質』、タバブックスの『コロナ禍日記』それからクレストブックスの『屋根裏の仏さま』と『停電の夜に』も買い、ずいぶん荷物が多くなってしまった。

8月14日(土)雨

休日。どんよりする話題が多いので、ともちゃんの絵でポストカードをつくることに。もうすぐAdobeのライセンスが切れるので、何かつくりたいなと思っていたのだ。いっしょにお絵描きをして、ハートと野菜とドーナツの絵を仕上げ、コンビニでスキャンしてパソコンに取り込んで配置。楽しくて元気出る。ともちゃんが絵を描きながら「ろくしちじゅうに!イェイイェイイェイ〜ろくはしじゅうはち!ウーイェ〜」と九九の歌をノリノリで歌っていたのがとても良かった。

8月15日(日)雨のち晴れ

休日。夜からNetflixで『大豆田とわ子と三人の元夫』を見始め、面白くてつい9話まで一気見してしまった。ほぼ朝になってから就寝。

8月18日(水)くもり

ワクチンの副反応で仕事を休んだ。無料配信中の『否定と肯定』を見て、いよいよだるいと思ったら38.5度。本を読もうと思ったけど気力なく、寝る。夕食後、全話無料公開中の『ゴールデンカムイ』(漫画)を読み始める。スマホの小さい画面で読んだのでとても疲れた。

8月19日(木)晴れ

朝には熱が下がった。母のiPadを借りて『ゴールデンカムイ』を60話まで読んだ。

8月20日(金)晴れ

昼休みに『歴史認識とは何か』の続きを読む。戦後、それまで「大東亜戦争」と呼ばれていたものが「太平洋戦争」と呼ばれるようになったことでアメリカとの戦争というイメージが強くなった。それによって1931年の満州事変からの中国への侵略やアジア諸国の植民地化の印象が薄れたということを鶴見俊輔が指摘し、15年戦争と呼ぶべきだと主張していたらしい。わたしは最初から太平洋戦争という呼び名で学んできたから、目から鱗だった。
帰りにブックオフに寄り、『飛ぶ教室』『晴れたら空に骨まいて』『昭和天皇・マッカーサー会見』を買った。なんだろ、夜のブックオフにいると泣きたくなる時がある。孤独がじわじわ染み込んでくる感じがして。帰宅して『ゴールデンカムイ』を100話まで読んだ。

8月21日(土)晴れ

『ゴールデンカムイ』118話で菱の実が登場し、先月猪苗代湖で拾った謎のトゲトゲの実の正体がわかった。くるみみたいに食べられるし、むかし忍者は撒いて使ったらしい。これが撒き菱か!と感動。たしかにうっかり踏んだらめちゃくちゃ痛そう。やっと140話まで来たけど、あと半分も残ってると思うと先は長い……。

8月22日(日)くもり

休日。『ゴールデンカムイ』、238話まできた! 明日には読み終わりそう。

8月23日(月)晴れ

夜の間に大雨が降って、朝にはカラッと晴れた。昼休みに『歴史認識とは何か』の続きを。まだ半分くらいしか読めてない。わたしが覚えている一番最初の総理大臣は村山総理なのだけど、村山談話の内容を知り、あの髭のおじさんはそんな人だったのかと驚く。1995年から約25年の間に、日本は歴史をじわじわ逆行しているのだろうか。

8月24日(火)くもりのち雨、パラリンピック開会式

昼休みに『ゴールデンカムイ』読み終わった! ついに金塊にたどり着いた……。一通り読んだものの登場人物の人間関係を把握しきれていないから、もう一度読み返そうかなぁ。

8月25日(水)晴れのちくもり

昼から仕事。休憩中に『人文会ニュース』を読んだ。小林えみさんの本屋についての寄稿と、小川さんの寄稿。前者は経験と照らし合わせて面白く読んだ。過去の自分の本屋での仕事ぶりにはまったく自信が持てないけど、またいつか本屋をやりたいと思ってしまう。小川さんのメディアテークについての論考は、前向きな聡明さがあってとても良い内容だった。

8月27日(金)晴れ、猛暑

仕事帰りに『ドライブ・マイ・カー』を観た。とっても良かった。いろんな視点で楽しめる作品、余韻が残る。何となく帰りはくるりのハイウェイをBGMにして、窓を開けて歌いながら走った。ブックオフに寄って村上春樹の原作(女のいない男たち)を見てみたらかなり短い小説で、この短い物語にここまでの奥行を持たせたのだと知って驚いた。

8月28日(土)くもり

休日。暑い。喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら『歴史認識とは何か』の続きを読んだ。いったいいつまで読み続けてるんだという感じなのだけど、家では読む気にならないから隙間時間に少しずつ読んでいる。在日コリアンの歴史について、その理不尽な差別について。国籍は、例えばアメリカは出生地主義なのに対して日本は血統主義らしい。つまり、両親が外国人でもアメリカで生まれた子はアメリカ人であるのに対して、日本では2代目も3代目もずっと外国人であると。同じ言葉を話し、同じ環境で育っても日本人と同じ権利を得られない一方で、義務は変わらずに負わされていること。この在日コリアン問題については日本だけでなく韓国の知識人にも責任があること。あらゆる人の尽力によって少しずつ待遇は改善されてきたらしいが、それが思っていたよりも最近の出来事なのだということに驚いた。わたしが生まれた後に動いたものもある。戦後責任はまだ現在進行形で続いている。読めば読むほど、自分が無知すぎてふるえる。

8月30日(月)晴れ

夜の間にザーザー降った雨が朝にはカラッと上がった。『インディアスの破壊についての簡潔な報告』を読み始める。1542年に書かれた、キリスト教徒によるインディオ殺戮などを告発した文書をまとめた薄い岩波文庫。いつからかずっと棚に差さっていた。読もうと思ったきっかけは、このあいだ地元の広報誌の表紙にEXITというお笑い芸人?が載っていたこと。彼らのことはよく知らないけど、新曲(歌も歌うらしい)の歌詞に「コロンブスがアメリカ大陸を見つけた時代のほうが よっぽど自由と希望溢れてただろ」というのがあるらしいことはTwitterで見て知っていた。だから広報誌を見て暗澹たる気持ちになったのだけど、ひどいなと思いつつもわたしだって歴史をよく知らないから、いざ読んでみようと思った。
読み始めたはいいのだけど、ものの10ページ読んだだけでもあまりにも残虐でクラクラしてきて一度閉じた。文字を目で追いながら、気付くと顔が歪んで固まっている。

ゆり
元書店員、現在は文化施設の職員をしています。「ほんの日記」は、毎日書いている日記の中から読書記録などを抜き出したものです。