ほんの日記|2021年11月

(手前が読んだ本、奥が買った本)
笑っちゃうくらいたくさん本を買った。これじゃあ本棚増やせども増やせども足りないわけだ。

◎読んだ本◎
『観察する男』『日記集 八月二十九日、』『手の倫理』『祖父の創作ノート』『祖父の人形』『わたしたちのかたち』『ある日突然、目が覚めて』『たどり着いた夏』『日日是製本2020』『ベルリンうわの空』『女(じぶん)の体をゆるすまで』

11月1日(月)晴れ
飛ぶ教室(ラジオ)で紹介されていた『樹木たちの知られざる生活』がすごく面白そう。

11月2日(火)晴れ
仕事帰りにイービーンズの古本まつりに行った。久々に地下鉄に乗ろうとしたとき、ふと小田急線や京王線の事件のことが頭をよぎり肩がこわばる。地下で火事になったら、誰かに刃物を振り上げられたら。もしわたしがあの場に居合わせていたとしたら、しばらく乗り物には乗れなくなるかもしれない。古本まつりに来たものの、元気がないせいかまったくアンテナが働かない。せっかく来たのに何も手に取れないまま閉店時間になってしまった。ふだんあまり駅前に来ることもないのでブックオフにも寄ってみるが、ここでも頭が働かない。柴山さん編集の『家(チベ)の歴史を書く』を見つけ、その1冊だけレジに持って行った。

11月3日(水)晴れ
秋晴れ。定禅寺通りの枯葉がものすごい勢いで落ちてくる。ベンチで昼ごはんを食べていたら、葉っぱが頭に3回くらい当たった。カバンにも2回入った。『観察する男』を読み終える。観察映画の制作過程を観察する本。編集の話が面白かった。
帰宅してご飯を食べながら見た、自給自足の家族を取材したテレビが凄まじかった。4人の子供がそれぞれの小屋を自分で(小学生くらいの頃に)建ててそこで寝泊まりしている。それぞれに手仕事をして身銭を稼いでいる。わたしには出来ないけれど、憧れる。生きる力、考える力に溢れていて、自分とは……特に今の自分とは正反対だ。
部屋に戻ると、身に覚えのない小包が置かれていた。ネットで買い物した記憶はないし何だろうと思いながら手に取ると、一子さんから新作の自費出版本が届いていた。写真集と日記本の2冊が入っている。買おうと思っていたところだったから思いがけずうれしい。写真集『わたしたちのかたち』、パラパラめくるだけと思っていたのに結局最後までじっくり見てしまう。写真が良すぎて目が離せない。豊島で撮ってもらった写真は見開きでどーんと載っていた。ただただうれしく、また宝物をもらったような気持ち。毎年恒例みたいになっていた香川の旅も、コロナの影響で去年と今年は行かなかった。もう一冊の『ある日突然、目が覚めて』という日記本を読んでいるうちに2時に。一子さんの本はたいてい届いたその日にするする読み終えてしまう。本を閉じるころには、なんだか清々しい気持ちになっていた。

11月5日(金)晴れ
休日。天気が良いのでどこかに出かけたくて、思い立って山形へ。高速を使えば12時過ぎに出て13時には着く。近いけど、高速代はまぁまぁ高い。まずは山形美術館の近藤亜樹展「星、光る」を観る。これが目当てだったわけでもなく、何となく行ってみるかと立ち寄っただけだったのだけど、本当に観れて良かった。生きていること、息していること、そしてかつて生きていたものもぜんぶひっくるめて全肯定する力強さみたいなものがなだれ込んできて呆然とした。順路最初のチューリップの大作から圧倒され、しばらく動けなかった。
美術館をあとにして、Googleマップで「本屋」を検索。このあたりの本屋事情がまったくわからないので、近くで気になったところにとりあえず行ってみる。紙月書房という古本屋で『ひとつのポケットから出た話』『古代日本と朝鮮』を買う。喫茶スペースにいる若い男性とカウンターの中にいる店主の男性が、ふたりともそれぞれ静かに本を読んでいた。商店街の中の侑文堂というお店に入ると、店主のおばあちゃんがご近所さんらしき方と井戸端会議をしていた。歴史ある佇まいだけど改装されて妙におしゃれな空間になっていて、本屋というよりコミュニティスペースのよう。ふたりの雰囲気とはずいぶん距離のある印象の空間だったので不思議がっていたら、「今日は学生さんがいなくてごめんね」と声をかけられる。何のことかわからず聞いてみると、ここは東北工大の学生さんのプロジェクトでリノベーションされた場所らしい。ふだんは学生さんたちが日替わりで店番をするが、この日は店主の原田さんが店番の日だった。『愛、深き淵より』、『乳と卵』を買い、近くの喫茶店ですこし休憩をする。チーズケーキを食べながら、このあいだなかっちゃんが送ってくれた天野潤平さんの『日記集 八月二十九日、』、そして買ったばかりの『愛、深き淵より』を少し読む。不慮の事故で体が動かなくなり、唯一動かせる口に筆をくわえて絵と詩を描き続けた星野さんという方のエッセイ。外も暗くなってきたところで、香澄堂書店という古本屋に行ってみる。きれいに整えられた棚に心が踊る。『太陽と鉄』『感情教育(上)(下)』を買う。たくさん買ってカバンが肩に食い込むので、何度か左右を入れ替えながら車まで歩いた。帰りは高速を使わずに山道を走った。

11月6日(土)晴れ
休日。出かけようかどうしようかぐだぐだしているうちに時間が過ぎてしまい、結局家で過ごす。夕方に美容院へ行き、切ってもらっている間に『手の倫理』の続きを読む。美容院で紙の雑誌ではなくタブレットを渡されるようになった件について、「髪の毛が挟まらない」「コロナ対策も画面拭くだけでOK」「この人絶対この雑誌じゃないよな…と思いつつ忙しい時はやむを得ず適当な雑誌を渡してしまうという事態を回避」というメリットがあることを教えてもらった。

11月7日(日)晴れ
昨夜『女(じぶん)の体をゆるすまで』を一気に読み、うまく寝付けなかったために今朝は寝坊。遅刻してでも仕事に行こうと準備しているときに母が「今日お父さんと白石に行くけど行く?」と声をかけてくれた。先月他界した父の恩師のお墓が白石にあるらしい。それならばとわたしも思い切って休むことに。ちょうど今日白石である白イチというイベントに行きたかったのだ。
白石はまちのどこからでも蔵王連峰が見える。山を眺めることで遠くに気を巡らせることができる感覚が心地よい。お墓は共同墓地だった。知らない人同士が同じお墓に入る、それは何だか不思議な縁で面白いように思う。白イチの会場は白石駅のすぐ近くで、周辺は若い人たちで賑わっていた。ジュンコさんに、父と母の似顔絵と、わたし一人の似顔絵も描いてもらう。似顔絵のためにアクリル板越しでマスクを外すとき、薄田さんが「マスクしてない顔は初めてですね」と言うので、そうかと思い、ちょっと照れ臭い気持ちで椅子に座る。とても可愛く描いてもらってうれしい。ボタンのブースで柳田国男の『こども風土記』、気になっていた小指さんの『宇宙の食卓』、そして既読だけど手元に置いておきたかったくどうれいんさんの『氷柱の声』を買う。
白イチをあとにして、お昼に番やというお店へ。歴史が刻まれた庶民的な佇まいで、これは良さそうだぞ……と入る前から静かに興奮する。昔ながらのインターホンを押してくつを脱いで上がると座敷があり、常連らしき人たちが何組か自分の家みたいにくつろいで座っていた。注文したヒレカツ定食はかなりボリュームがありお腹いっぱい。そこかしこに書が飾ってあり、「禁煙」という張り紙にも落款が押されていた。ただのインフォメーションではなく作品になっていることにまた興奮して写真を撮った。
帰りの道中、後部座席で『祖父の創作ノート』というZINEを読んだ。以前ボタンで気になって買ったもの。103歳で亡くなられた原田さんというおじいさんののびのびとした創作について書かれているもので、これがすごく良かった。とても魅力的な原田さん、彼の好奇心がかけがえなくて、とても元気が出る。この本の前に『祖父の人形』という作品集が出ているらしく、またそれも欲しくなる。調べたらボタンに在庫があるようなので、近々また行くことにしよう。

11月10日(水)晴れ
『海をあげる』がノンフィクション本大賞を受賞したらしい。何だか勝手にうれしくなる。
帰宅して、まどをあける編集部のzoom会議。あーちゃんの絵日記が連載開始から1年経ったので、一冊の本にまとめることに。何年も続けられるように、気軽なかたちでできたらいいな。記録として淡々と。

11月11日(木)晴れ
朝、八木山のあたりで久々に虹を見た。曇り空にうっすら。信号待ちで写真を撮った。
仕事帰りに「ナラティブの修復」展を見る。工藤夏海さんのまちがい劇場、切実さをやわらかく表現できるあの感じは何なんだろう。うまく言語化できないけど、とても好きで、時折泣きそうになりながら見た。磯崎さんの映像もとても良かった。10組の作家の表現、すごいボリュームで見きれないのでまた何度か通おうと思う。そして、明日から待望の4連休。

11月12日(金)晴れ
のんびり10時頃に起きた。連休は何をして過ごそうか。ふと名古屋へ行こうと思い立つ。今は何か気分転換がしたい。目の前の景色がパッと変わるような。自分には無理だと無意識に思い込んでいたことが、そうじゃなかったと思えるようなことがしたい。

11月14日(日)晴れ
8時に仙台空港を出発し、名古屋へ。飛行機に乗る前はいつも、今生の別れかもしれないとうっすら思いながら準備をする。だからと言って何をするわけでもないが、パソコンのアカウントをログアウトしてみたりはする(気休め)。天気が良いので空から景色が良く見え、うれしくなって写真をたくさん撮った。たいていの場所は山々の谷間にまちがあるが、名古屋に差し掛かった途端に果てしなく続くまちが現れた。上空から大都会を実感する。10時には名古屋の街中にいた。なんて便利なんだろう。
まずはシマウマ書房へ。前に来たのはたしか移転したばかりの頃だった。つい長居して、『みちのくの御菓子』『手のことば』などを買う。鶴舞に移動し、山星書店と大学堂書店を覗く。外のワゴンにあった『山怪』という本を買った。外が暗くなってきたのでホテルにチェックインし、いざonreadingへ。大好きな場所。杏子さんとおしゃべりをして元気をもらう。すこし前に天野潤平さんの日記を読んで気になっていたみすず書房の『美しい痕跡』、佐久間裕美子さんの『We Act!』、『うろん紀行』を買い、隣のギャラリーでshunshunさんの作品集も買った。黒田さん(義隆さん)が名古屋のおすすめマップを共有してくれたので、晩御飯は迷わずにホテル近くのお店で食べることができた。コロナでなかなか遠出もできずにいたけど、離れたところに大好きな場所があって、またそこに行きたいと思えることにどれだけ救われてきただろうと思う。

11月15日(月)晴れ
今日も天気がいい。昨日onreadingの帰りにコアラドで買ったチーズケーキを公園で食べる。フォークを手に入れるために、近くのコンビニでミニサイズのカップヌードルを無駄に買ってしまった。のんびり公園のベンチに座っているといつもの昼休みみたいで、ここがどこだかわからなくなってくる。
金山に新しくできたというTOUTEN BOOKSTOREさんへ。数日前にポルべニールさんのTwitterで知った。扉を開けると若い女性がちょこんと座っていて、とっさに「バイトの人かな」と思った。なぜか店主は男性だと思い込んでいたのだ。棚を眺めている時にハッとそのことに気がつき、恥ずかしくて申し訳ない気持ちになった。わたしの中には歪んだジェンダーバイアスがあり、こうやって毎日悪気なく、無意識のうちに女性のことも自分のことも見下し続けているのだと思うと、じわじわ悲しい気持ちになる。そんな気持ちを打ち消すような気持ちで、店主の古賀さんに話しかけてみる。古賀さんは物腰がやわらかくさっぱりと明るくて素敵な方で、すぐに大好きになった。装丁に一目惚れした三角みづ紀さんの詩集『よいひかり』、『山學ノオト2』、『25歳からの国会』を買う。帰り際に「カップヌードル食べませんか」と聞いてみたら、笑いながら受け取ってくれた。
続いて、古賀さんが薦めてくれたちくさ正文館へ。人文書がかなり充実していて、見たことのない本がたくさんあった。長い時間をかけて積み重ねてきたものと、どんどん循環していく風通しの良さが同居しているような独特の心地よさがあり、入った瞬間に静かに感動した。毎年の誕生日にここで好きな本を10冊買える権利をもらえるのなら長生きしたいと思えるような本屋だ。散々迷ったあげく、台湾フェアの棚にあった呉明益『眠りの航路』を買う。
店を出て、黒田さんの名古屋マップを見ながらLIEB BOOKSまで歩いてみる。アートブックがメインの小さなお店。『幸福までの長い距離』という映画エッセイの本と、『ぼくの哲学日記』を買った。最後はManila Books&Giftというお店へ。地図を見ると歩けそうな距離なので、ここへも徒歩で向かう。外国のZINEだらけでよくわからなかったけど、アーサー・ポロックという写真家のモノクロ写真がとても良くて、パラパラ見ていたら店主の方がいろいろ教えてくれた。ポロックは1970年代〜90年代の写真家で、報道写真家らしからぬ、市井の人々の飾らない暮らしの様子を写した写真が評価されているらしい。大判写真集が格好良かったのだけどさすがに買えず、『HAMBURGER EYES』という小さな雑誌の特集号を買った。
電車に乗って空港へ。歩き疲れた体で搭乗手続きの時間を待つ。がらんとした空港の隅っこのベンチに座り、思い立って小鳥書房かよちゃんのnoteの日記を読む。じりじりと胸に刺さる。一点の曇りもなく天真爛漫で一生懸命な人なんてたぶんいないのに、一時期のわたしは彼女をそんなふうに見ていたような気がする。一体何を見ていたんだろう。うまく言えないけど、この日記には人の美しさが詰まっていると思う。

11月16日(火)晴れ
久々の仕事。昼休みに『手の倫理』の続きを読む。

11月18日(木)晴れ
昨夜は夕飯を食べたあと、眠すぎて風呂にも入らずに寝てしまった。朝日が眩しい。昼休みに『手の倫理』の続きを読んだ。土曜日の寺尾紗穂さんのライブを予約した。

11月19日(金)晴れ
良い天気。ベンチで『手の倫理』の続きを。昼休みにしか読まないからなかなか読み終わらない。

11月20日(土)晴れ
仕事帰り、寺尾紗穂さんのライブを観に杉村惇美術館へ。今年最初の石油ストーブの匂いに心が緩む。ライブ、本当に素晴らしかった。聴きながら、大切なものを手放したまま生きていることをふと思う。本当はそれらともう一度手をつなぎたいとずっと思っていることに気づき直す。著書『南洋と私』、CD、ビッグイシューのリトルプレス特集と原発特集を買って大講堂を出る。音楽をかけて余韻に浸りながらのんびり運転して帰った。帰宅すると山梨の石垣さんから電話がかかってきたので、ライブの感想などを言い合う。石垣さんはいつも突然電話をくれるけど、なぜかいつもタイミングが良い。

11月22日(月)雨
休日。久々に雨。朝たいちゃんに起こされる。たいちゃんは最近、「こゆかんじ(こういう感じ)」という言葉をたくさん使う。何かを説明しようとする時、難しいことは言語化できないから、「こゆかんじだよ」と一所懸命に言う。それを見ていると何くんを思い出す。一時期ゲストハウスで一緒に暮らしていた台湾人の何くんは日本語がとても上手だったけど、うまく説明できない時はいつも、ジェスチャーや寸劇を繰り広げたあとに「この感じ」と言っていた。言葉を並べることよりも、目の前の人に伝えることをまっすぐに選べる人だった。全身を使って「この感じ」を伝えるって、いいなぁと思う。
午後から歯医者。2本の虫歯を治療し、セラミックを詰める。今日も長丁場なので、待ち時間に『彗星の孤独』を読む。「心に思ったことの9割は口にしない。それは他者に対して閉じている、というより、発声に至るまでが私にとっては大きな労力を要する過程であり、発生地点がひとつの山場なのだ。大抵の感情や感じたことはこの山場を乗り越えられずに終わる。残骸のように山麓に残った感情を、私は文にし、歌にする」——。ああ、と思いふせんを貼る。声にならなかった感情は、この世の中にどれくらいあるのだろう。家の中に、職場の中に、小さな体の中に、本の中に、いったいどれほどの感情が燻り続け、あるいは消えていくんだろう。それはわたしの中にも無数にあり、発せられなかった言葉のごく一部を日記に書く。無事に歯の治療を終え、雨の中帰った。

11月24日(水)雨のちくもり
仕事帰りに海までドライブした。駐車場に車を停め、堤防の上を歩く。海は真っ暗で遠くに船の光が見える。波の音を聞いていると足がすくみ、闇に吸い込まれそうになる。瀬戸内海は夜でも怖くなかったのに、太平洋には底知れない怖さがある。魔が差しそうになる。

11月25日(木)雨
雨の夕方、お母さんと手を繋いだ3歳くらいのおかっぱの女の子が横断歩道を渡っていた。黄色い傘を持って歩く、そのうきうきした様子が可愛くて二コニコ眺めていたら、はにかみながら手を振ってくれた。お母さんは気づいてない様子。胸がじんわり温まる。
21時から、かよちゃんと月一の読書会。課題図書は『手の倫理』。本題に入る前に長々と雑談をしてしまい、かつ本の話をしながらも時折脱線し、なんかこの読書会は、こうやって時々雑談をするための口実みたいに思えてきた。「さわる/ふれる」について話をする時、お母さんの手を握りたいのに握れなかったことを教えてくれた。ふれることはただでさえ簡単ではないのに、コロナ禍になってますます難しくなってしまった。次回は1月、課題図書は川上未映子『夏物語』に決まった。

11月27日(土)晴れ
仕事帰りに曲線で橋本さんと菅原さんのトークに参加。お互いに信頼し合っているふたりの豊かな会話を聞いてとても満たされた。うれしくなってたくさん本を買う。『たどり着いた夏』、『ベルリンうわの空1〜3』、前から気になっていた『思考記』、橋本さんが教えてくれた『いつかたこぶねになる日』、柴山さん編集の『ヘルシンキ生活の練習』。たくさん抱えてレジに行くと、菅原さんから「佐藤さんそんなに買うんですか」とちょっと笑いながら聞かれ、「買います!」と答えてお会計をしてもらった。ほくほくした気持ちで店を出て、夜道を運転しながら、良い場に居合わせたという感動が体を巡った。

11月28日(日)くもり
9時に橋本さんと待ち合わせをして、駅前のタリーズで朝ごはんを食べながらおしゃべりする。話せるのがうれしくて、自分の話ばかりして空回りしてしまった。なにせ本当にうれしかったのだ。駅でお別れをして、開店と同時にボタンへ。『祖父の人形』、尾形亀之助の『カステーラのような明るい夜』、『石はきれい、石は不思議』を買う。薄田さんが奥から大きな鳩サブレの缶を出してきて、おまけで付いてくるらしい鳩のコースターをくれたのが愉快で、店を出てからも手に持って眺めながら歩いた。その足でオープンしたばかりの阿武隈書房へ。まだ棚が整理しきれていないらしく雑然としていたけど、面白そうな本がたくさんあってとても楽しかった。『外骨戦中日記』、串田孫一の随筆集『四季』、原民喜『夏の花』、宮本常一『女の民俗誌』を買う。これからどんどん変わっていくのかと思うと楽しみ、近々また来たい。メディアテークへ行き、工藤夏海さんの「まちがい劇場」を鑑賞(すこしだけ参加)。あおちゃんとマイケルとわっふ(だったかな?)の即興バンドが最高にかわいくて満たされた。泣きたいような素晴らしさ。稀に見る良い1日だった。

11月29日(月)晴れ
久々に会ったたいちゃんを抱っこする。小さい子供を抱っこしたいという欲望が不埒な気がしていつもすこし後ろめたい。ぎゅっと抱きかかえて体を揺らしながら一緒に歌を歌っていると、多幸感で満たされる。でも家族だから許されるのだ。紙一重なのだ。最大の愛情表現になりうる行為は、最大の暴力にもなりうるのだから。そんなことをいちいち考えてしまうわたしは変なのかもしれない、とも思う。

11月30日(火)晴れ
家を出て、坂を下りるときに見える遠くの山が白い。冬。寝る前に『ベルリンうわの空』を読み始める。1巻読了。良い〜。