日曜はじまり日記|11月22日の週

11月22日(日)晴れ

ラジオの久納さんからのメールに「12月24日の19時台にラジオなんて聴くのかなとだんだん不安になってきました」とあり、たしかに!と笑ってしまった。食事やらケーキやらで一番盛り上がるであろう時間帯。でもそんなときにラジオを聴いてくれる人たちとはささやかな親近感みたいなものを感じられるかもしれません、続いてそう書かれていて、何か温かいものに触れたような気持ちになった。それぞれの場所でラジオを聴く人のことを想像するだけで、ちょっと心の風通しが良くなる不思議。『まどをあける』にはそういう意味を込めたんだった。ささやかな親近感、かぁ。知らない誰かが聴いてくれると良いな。

夜遅くに帰宅すると、リビングで家族が映画を見ていた。田島征三さんの幼少期を描いた『絵の中のぼくの村』。聴覚障害のある方のための日本語字幕が付いていて、そこで夏の夜のシーンに「鳴き交わす虫の声」とあって感動してしまった。リリリ…という鳴き声が複数重なる様子を「鳴き交わす」と表すのかあ。おそらく次のシーンへの暗示的意味も込められていて、ことば選びに惚れ惚れした。


11月23日(月)晴れ

いい天気。昼から仕事。よく「空を見たら自分の悩みなんてちっぽけに思えて元気出た」みたいな話ってあるけど、空を見たあとでもこまこました現実に立ち戻る瞬間が待っている以上、空を見て悩みが消えることは私の場合ない、というどうでもいいことをふと思う。悩みは消してくれないけど、ほんのすこし凪の時間をもたらしてくれる。今日は空がきれいです。

仕事でひたすらDVDの短い解説文を書いているのだけど、映像を見て全身で受けた感覚を、言語化することでひとつの側面に閉じ込めてしまうような、矮小化してしまうような感じがしてもどかしい。収拾のつかないものが整頓されていく気持ちよさと引き換えに、全体に開かれていた五感が一部閉じていくような感じがする。当たり前のことなんだろうけど、そもそもことばは情報の一部しか担いようがないのだということを実感する。でも言語化することで新たに価値が与えられるような側面もあって、ことばにした途端に失ったり生まれたりが同時に起きる、そんなことを発見しながら地味な仕事をわりと楽しんでいる。


11月24日(火)晴れ

ドラマとか映画で仲間たちとわいわいお酒を飲んでいる描写を見ると、いいなぁ、いまはこんなんできないよ〜と羨ましく切なくなるけど、そもそもコロナ禍前からそんな日常わたしにはなかったわ…と気づく。そろそろ仙台でも友達つくろう…。

久しぶりな人から立て続けに連絡をもらった。うれしかったり、受け止めきれなかったり。いろんなことが煮え切らないまま、またひとつ歳をとってしまうんだな。最近は歳をとるのが怖い。


11月25日(水)くもり

くたくた。小さくすり減る。マスクの下で歯を食いしばっていたようで、頭がズキズキする。
夜遅くに帰宅すると、一子さんからクリスマスプレゼントが届いていた。自分にクリスマスがやってくるなんて思ってもみなかったから、うれしくてじわり泣けてくる。すり減っていたところにクリームを塗ってもらったみたいに癒された。

ついに近所の学校でも感染者が出て、明日から臨時休校になるらしい。


11月26日(木)晴れ

朝早くから仕事。東の空がクリーム色に光ってて、冬の空の色だなぁ〜としみじみ思ったけど、果たして本当にそうなのかは知らない。

思い出してはいたたまれなくなることがあってちょっと落ち込んでいる。見たいものを見ようとする目では、永遠に見えないものがあるよなぁ。加担してきたもの、無神経さを自覚してへこむ。
帰り道、何となく手持ち無沙汰でなかっちゃんに電話をしたら、少し話すつもりが長電話になってしまった。うまく人に説明できそうにない些細な悩みごとをなかっちゃんには話してしまう。ことばに詰まっても大丈夫、何かしら汲み取ってくれると思えるから、着地の見えない話を安心して切り出せる。それは本当にものすごくありがたいことで、今日も助けてもらいました。ありがとう。


11月27日(金)晴れのちくもり

休日。冬用の毛布があったかすぎて11時近くまでぬくぬくしていたら、さすがに寝過ぎたのか頭がずきずき痛い。

用事ついでに紀伊國屋に寄り、岸政彦さんの『ブルデュー ディスタンクシオン』(NHKテキスト)を買った。読みやすそう。この間火星の庭で買った『ディスタンクシオン』を読み始める前に、100分で名著で予習するつもり。

帰宅してからも頭痛がおさまらず、何となく熱っぽさもあり調子が悪い。仕事がいろいろ山場で、いま体調を崩すのはだいぶまずいので緊張がはしる。夕食後に頭痛薬を飲むとだいぶ良くなって、ホッとしていると生理が来ていた。体調不良の理由がわかってすこし安心した。

夜、上間陽子さんと信田さよ子さんのオンライントークを聞いた。もっとずっと聴いていたかった。


11月28日(土)くもり

仕事。生理のせいで、ただ存在しているだけで消耗する。体がずーんと重い。世の女性の皆さん本当すごいよ、生きてるだけで頑張ってるよと思う。明日のイベントの準備をして早めに帰宅。
家に着くとちょうど子どもたちが外にいて、「ゆうゆのクッキー1枚もらいましたから!」とともちゃんから謎の宣言をされる。そうなんだ、と笑ってちょっと元気出た。

ゆり
宮城県で暮らしています。関東や四国での生活を経て帰郷しました。元書店員、いまは文化施設職員。