日曜はじまり日記|11月15日の週

11月15日(日)晴れ

休日。一日中家にいた。たいちゃんが「洋なし」という言葉を覚えたのだけど発音が「おおなち」で、「おんなじ」とか「ともだち」と区別がつかず。「おおなち、おおなち」と服を引っ張られながら「ん?おんなじ?」「あ、ともだちがなあに?」とか聞き返してしまい、ちがう、おおなち!と怒られる。伝えたいことが伝わらないとき、たいちゃんはイライラをしっかり表現する。


11月16日(月)晴れ

暖かい陽気。今朝浅野さんが「読みました?」と話しかけてくれたので、『人類堆肥化計画』読み始める。浅野さんの絵が表紙になっていて、ほぼそれが理由で買った本だけど、読み始めたらかなり面白い。実践と実感にもとづいた言葉を浴びると、それが多少辛辣であっても生き返る感じがする。自然礼賛、里山回帰、反文明的な内容なのかなと思っていたら、むしろそういうものへのアンチテーゼだった。
2年前に山から街へ帰ってきたとき、土から切り離された世界がバーチャルに見えた。でもその感覚はいつの間にか消えてしまい、何かが抜け落ちたような心許なさを携えたまま日々地面から遠ざかっている。そんな漠然としたもどかしさの中でうまく言葉にできずにいた感覚を、こんな視点で言語化する人もいるんだと知り、驚いたし何だか感動した。


11月17日(火)晴れ

帰宅して、録画していたユヴァル・ノア・ハラリの番組を見た。冒頭の「人間の愚かさをみくびってはいけない」ということばが強烈で頭からはなれない。


11月18日(水)晴れ

仕事を休んで子宮がん検診へ。待合室で『人類堆肥化計画』の続きを読み始めたがまったく頭に入って来ず、ああこれはもうちょっと元気な時に読んだほうがいい本なんだなと気づいて、最近買った橋口幸子さんの『こんこん狐に誘われて』を読み始めたら、すいすい読めた。今日はこれくらいがちょうど良いらしい。
検診は衝撃的なほど流れ作業で、顔を合わせないままカーテン越しのやりとりのみでシステマチックに終了。コロナだからなのか、もともとそういうものなのか。

午後、無印に買い物に行くと、いつものことだけどケルト音楽が流れているから笛を吹きたくてうずうず。帰宅してからティンホイッスルを出してきてピロピロ吹いていたら、ともちゃんがメロディーに合わせて得意げに踊り出した。それが妙に優雅なので面白過ぎて、吹き出してしまって吹けない。もう少し大きくなったらふたりで笛のユニットでも組もうかなあ。楽しみ。


11月19日(木)晴れ

風がぬるい。遅めのお昼ごはんを食べながら『こんこん狐に誘われて』読み終えた。するすると読んでしまってあっという間に本を閉じた。なんだろう、小さくて静かな声に触れたのがずいぶん久しぶりのような気がして安心する。言葉に触れる時間そのものが尊いというか、読んでいる時間を味わうための本というか。
橋口さんの本は、最初に読んだ『いちべついらい』がすごく好きで、その後『コーヒーとエクレアと詩人』を読み(その流れでねじめ正一の『荒地の恋』も読み)、そして今回のこんこん狐を読んだ。どれも良かったけど、やっぱり『いちべついらい』が本当に好きで、また心がざわざわしたときに凪を求めて読み返したい。


11月20日(金)くもりときどき雨

休日。朝、テレビでマスク会食についての特集を見た。食べる時マスクを外し、ご飯を食べてまたマスクをつける、談笑する、またマスクを外し・・・というVTRを見ながら、不謹慎だけどケラケラ笑ってしまった。なんかもうつらい。仕方ないんだけど、この現実がつらい。

午後、姉がともちゃんを幼稚園に迎えに行ってそのまま買い物をするというのでついて行った。降園で賑わう幼稚園でともちゃんをピックアップしてイオンへ。姉が買い物をする間、ともちゃんとふたりでアイスクリームを食べた。「今日は特別だよ」「アイスクリーム食べたことたいちゃんには秘密ね」などとお約束のやりとりを楽しみながら、美味しそうな顔を写真に撮ろうとすると、笑ってピースでもするかなと思いきや「それ誰にも送らないでね」と真顔で言われ、ハッ…とする。ともちゃんにとっては写真を撮られる=誰かに送られる、なんだなあ。そう思わせているのは私たち大人で、いつも家族間で子どもたちの写真をシェアしているのを知っているからだ。本来なら写真を撮る前に「撮っていい?」と確認して、撮った写真を送るときは「これ誰々に送ってもいい?」と確認するのが筋だ。大人がそれをやらないのに、今後子どもたちにリテラシーを持てと言ったって説得力ないよねえ…。これからは(できるだけ)ちゃんとします…と静かに反省。


11月21日(土)晴れ

休日。松本の久納さんのラジオで流すクリスマスのエッセイを書いた。今月末が締め切り。企画自体は8月から声をかけてもらっていたのに、案の定ギリギリになって着手した。なかっちゃんとそれぞれ500字くらいずつ書いて、朗読したものを録音する。お互いに地味なクリスマスエピソードを披露し合って、素朴で良いと褒め合った。

夜、石垣さんから久しぶりに電話をもらった。石川直樹さんのトークイベントに参加した帰りらしい。石垣さんはなぜか、石川さんがらみの何かに触れるとわたしを思い出して連絡をくれる。近況報告などいろんな話をして、毎度のことながら2時間も話した。新しいお店も順調のようで良かった。石垣さんみたいに底なしの好奇心で世界を切り拓いていく大人にわたしもいつかなりたい。大好きな年上の友人。

ゆり
宮城県で暮らしています。関東や四国での生活を経て帰郷しました。元書店員、いまは文化施設職員。